イタリアの夕暮れ、街角のバールではグラスを手に語らう人たちの姿がよく見られます。テーブルに並ぶのは、鮮やかなオレンジ色の「アペロール・スプリッツ」
軽くつまみをつまみながら、仲間とおしゃべりを楽しむ―そんなリラックスした時間に、このカクテルは欠かせません。
ほろ苦さと爽やかさが絶妙で、見た目も華やか。気取らず楽しめるのに、なぜか気分が上がる。
今回は、アペロール・スプリッツの魅力や楽しみ方をたっぷりご紹介します。
アペロール・スプリッツとは?イタリア発のオレンジ色のカクテル

アペロール・スプリッツとは、イタリアでは定番のリキュール「アペロール」を使ったカクテルです。
アペロールは柑橘系の爽やかさとほんのりとした甘み、そしてハーブのほろ苦さが絶妙に調和した味わいが特徴です。

アルコール度数は控えめで、飲みやすく、苦味が苦手な方でも楽しめるのが魅力!
このアペロールに、スパークリングワイン(プロセッコ)とソーダを加えて作るのが「アペロール・スプリッツ」です。
鮮やかなオレンジ色の見た目が印象的で、夕暮れのテラスや食前のひとときにぴったりです。
イタリアで体験したアペロール・スプリッツのある風景


イタリアを旅していると、昼間からグラスを片手にくつろぐ人の姿をよく見かけます。
テラス席では観光客はもちろん、地元の人も休日にはのんびりとアペロール・スプリッツを楽しんでいて、「昼から飲むのが特別じゃない空気」に、自由さを感じました。
そんな風景を眺めながら味わうアペロール・スプリッツはただのカクテルではなく、旅の一部として記憶に残ります。ここからは、現地で体験したスプリッツの魅力をいくつかの印象的なシーンとともにご紹介します。
アペリティーヴォ文化に溶け込むアペロール・スプリッツ
イタリアの食文化には「アペリティーヴォ(aperitivo)」という素敵な習慣があります。夕食の前に軽く一杯飲みながら、ちょっとしたおつまみとともに会話を楽しむ時間のことです。
友人や家族とテラス席に腰かけ、その日あったことをのんびり語り合う穏やかなひとときが、1日の終わりをやさしく切り替えてくれます。


そんなアペリティーヴォの定番ドリンクとして親しまれているのが、アペロール・スプリッツです。
ほろ苦さと爽快感がほどよく調和したスプリッツは、食欲をやさしく刺激してくれます。



リラックスした空気と相まって、飲んでいるうちに自然と気分がほぐれていきます。
旅先でこの文化に触れると、「食べる」や「飲む」だけではない、イタリア人の豊かな時間の使い方が見えてくるように感じました。
「アペロール・スプリッツ」じゃない?現地での呼ばれ方
旅の途中、イタリアでは「アペロール・スプリッツ」とはあまり呼ばれていないことに、ふと気づきました。現地でよく耳にしたのは、「アペロ・スプリッツァ」や「スプリーッツァ」という発音。



イタリア語は子音で終わる言葉が少ないため、自然と語尾に母音が加わるようです。
「スプリッツァ?」と軽く問いかけるように店員さんが聞いてくるあの感じが、なんとも心地よく印象的でした。
旅先では言葉の違いに戸惑うこともありますが、イタリアで注文する機会があれば、ぜひ「スプリッツァ、ペルファヴォーレ(Spritz, per favore)」とイタリア語で頼んでみてください。
たった一言でも、その土地の空気にぐっと近づける気がして、きっと特別な体験になります。そこから始まる“イタリア気分”がきっとあるはずです。
お店ごとに違う味わいと見た目
イタリアでは、どのバールでもアペロール・スプリッツが定番メニューとして並んでいます。味や見た目も、どのお店でも基本は似たようなもの。でも、よく見るとほんの少しずつ個性が違っていて、そこにちょっとした面白さを感じました。
例えば、あるお店ではアペロールがやや強めで苦味がしっかりだったり、別の店ではソーダ多めで軽やかな飲み口だったり。



使っているプロセッコの種類や氷の量、アペロールとソーダの比率で印象が微妙に変わります。
見た目にもその違いは表れていて、グラスの形や大きさ、オレンジの添え方もさまざま。くし切りで大胆に飾っているところもあれば、スライスをそっと添えるだけの店もありました。
どこで飲んでもおいしいけれど、ちょっとした違いに気づくとなんだか旅が少し豊かになる気がします。定番だからこそ、そんな微差を楽しむ余裕もまたアペロール・スプリッツの魅力かもしれません。
アペロール・スプリッツの作り方|自宅でも簡単にイタリア気分


「ちょっと気になっていた」「飲んでみたいけど、どこで頼めばいいか分からない」
日本ではまだあまり浸透していないアペロール・スプリッツですが、実は材料さえそろえば自宅でも驚くほど簡単に作れます。



おしゃれだけど気取らない、そんなイタリアのバールの雰囲気を、自宅で手軽に再現できたら素敵ですよね。
ここでは、アペロール・スプリッツの基本の材料や本場の黄金比を意識した作り方、そして自分好みに調整するコツまで、わかりやすくご紹介します。
基本の材料
まずは、アペロール・スプリッツを作るのに必要な材料をそろえましょう。特別な道具や難しい手順は一切なし。材料さえあれば、すぐに自宅で楽しめます。
- アペロール
- プロセッコ(イタリア産スパークリングワイン)
- 炭酸水
- オレンジスライス(なくても可)
- 氷
- ワイングラス(推奨)
まだ日本ではあまり見かけないアペロール。店頭で探すのはちょっと大変ですが、ネットなら手軽に購入できます。
「まずはどんな味か試してみたい」「1本買う前に気軽に飲んでみたい」という方には、アペロールの小瓶タイプもおすすめです。
また、本来はイタリアのヴェネト州などで造られるスパークリングワイン「プロセッコ」を使うのが定番ですが、手に入らない場合はスペインの「カヴァ」やフランスの「ブリュット(辛口)」タイプのスパークリングワインで代用するのも良いでしょう。
甘口よりは辛口を選んだほうが、アペロールとの相性が良く、すっきりとした仕上がりになります。
本場風に作る手順|黄金比とポイント


アペロール・スプリッツの作り方は、手順さえ覚えればとても簡単です。
- 大きめのワイングラスにたっぷりの氷を入れる
- プロセッコを60mlを入れる
- アペロールを40mlを入れる
- 炭酸水を少々加える
- 最後にオレンジ・スライスを飾る
この「プロセッコ3:アペロール2:ソーダ水1」の黄金比を覚えておけば、誰でも本場風の仕上がりになるはずです。まずはこの基本の比率で作ってみて、自分好みに調整していくのがおすすめです。
参照:アペロールの公式サイト
https://www.aperol.com/ja-jp/aperol-spritz-cocktail/
おいしく仕上げるコツ|自分好みの味に調整しよう
基本のレシピをベースに、自分の好みに合わせて調整できるのもアペロール・スプリッツの楽しみ方のひとつです。
たとえば、苦味をもう少し強くしたいときはアペロールをやや多めに、軽く仕上げたいときはソーダ水を多めに加えてみましょう。甘さを少し足したいなら、トニックウォーターをほんの少し加えてみるのもアリです。



ちなみに我が家は「プロセッコ2:アペロール1:ソーダ水1」で落ち着きました!
軽やかで飲みやすいのがアペロール・スプリッツの魅力ですが、氷がすぐに溶けてしまうと、せっかくの風味や爽快感が薄れてしまうことも。透明度が高く、大きめのアイスキューブを使えば、味のバランスをキープしながら最後までおいしく楽しめます。


見た目を華やかにしたいときは、オレンジスライスのほかにハーブやエディブルフラワー、シトラスピールなどを添えても◎。
ぜひ、自分だけのベストバランスを探しながら、イタリアの風を感じてみてください。
お家でイタリア再現!アペロール・スプリッツの楽しみ方


アペロール・スプリッツは自宅で気軽に楽しめるだけでなく、雰囲気の演出やおつまみの工夫次第でまるでイタリアを旅しているような気分に浸れます。
軽くて飲みやすいので、お酒があまり得意でない方でも取り入れやすく、昼間のリラックスタイムや週末のご褒美ドリンクとしてもぴったり。
ここでは、そんなアペロール・スプリッツをもっと楽しむためのアイデアや工夫をご紹介します。
自宅でも“イタリアの風”を感じる工夫|雰囲気づくりのアイデア


せっかくアペロール・スプリッツを作るなら、飲む空間も少しだけ演出してイタリア気分を盛り上げてみましょう。おすすめはベランダや窓辺にテーブルを出して、自然光や夕方の風を感じながら飲むスタイルです。



我が家もお天気の良い日はベランダでアペリティーヴォしています!
BGMにジャズやイタリアンポップを流せば、さらに現地のバール感がアップします。おつまみは木のプレートや白いお皿に並べ、ナプキンやカトラリーに少しこだわるだけでも雰囲気がガラリと変わります。
香りを楽しむために、オレンジの皮をグラスの縁に軽くこすりつけるのもおすすめ。ハーブやエディブルフラワーを飾れば、見た目も華やかでテンションが上がります。
ちょっとした演出が、ただの一杯を“旅気分の一杯”に変えてくれますよ。
アペロール・スプリッツと相性抜群のおつまみ5選


アペロール・スプリッツのほどよい苦味と爽やかさには、チーズや塩味の効いたおつまみがよく合います。
特におすすめのものをピックアップしてみました。
- モッツァレラチーズ(フレッシュな味わいでバランス◎)
- ゴルゴンゾーラやブルーチーズ(コクのある塩気がスプリッツと好相性)
- ペコリーノチーズ(羊乳ならではの旨みと風味が映える)
- 生ハムやサラミなどの塩漬け肉(塩気と脂のバランスが抜群)
- グリル野菜やドライトマト(ズッキーニや人参など、オリーブオイルと相性が◎)
これらを数種類プレートに盛りつけて、見た目にも楽しめる“おつまみセット”にするとイタリアのアペリティーヴォ気分がぐっと高まります。
お酒が苦手でもOK!低アルで楽しめるアペロール・スプリッツ


アペロール・スプリッツのもうひとつの魅力は、アルコール度数の低さにあります。アペロール自体はワインと同じくらいのアルコール度数(約11%)ですが、プロセッコや炭酸水で割ることで、カクテルとしての仕上がりはおよそ5〜7%ほどに。
度数の強いお酒が苦手な方でも、ビールやチューハイ感覚で気軽に楽しめるのが嬉しいポイント。「ちょっと飲みたいけど、重たいお酒は苦手」という方にぴったりなカクテルです。
酔いすぎる心配も少なく、昼間のリラックスタイムや夕方の一杯にもちょうどいい軽やかさです。炭酸水の量を増やせば、さらにアルコールを抑えて爽やかに仕上げることもできます。
アペロール・スプリッツは、気負わず楽しめる“ゆるめの一杯”として、毎日のちょっとしたご褒美にもおすすめです。
アペロール・スプリッツで、イタリアの風を日常に


鮮やかなオレンジ色と、ほろ苦くて爽やかな味わい。アペロール・スプリッツは、グラス一杯にイタリアの空気を閉じ込めたようなカクテルです。
ゆったりとした会話、光と影のコントラストが美しいテラス席、少し早めに始まる夕暮れの一杯。そんな本場の風景を思い浮かべながら、自宅で気軽にその世界観を楽しめるのもこのカクテルの魅力でしょう。
日本ではまだ身近とは言えない存在ですが、材料さえそろえれば作り方はとてもシンプルです。ぜひ、自宅でアペロール・スプリッツを作って、ちょっと特別なひとときを演出してみてください。
そして気に入ったら、いつか本場のイタリアで“本物のスプリッツ”を味わう旅を計画してみるのも素敵です。バールのざわめきの中で飲む一杯は、きっと記憶に残る体験になるはずです。